苔の笞

【あらすじ】
主人公の若者は、自衛隊員となり、日々激しい訓練に明け暮れる。根源的な「自由」が抹殺される軍隊において、やがて若者のたった独りの反乱が始まる。
個を尊び、孤を畏れぬ若者――弱者を食い物にして強者のみが肥え太る、そんな劣化し閉塞した現代を生きることは可能か。

第3回 丸山健二文学賞受賞作品。

【著者紹介】
赤羽3郎(あかばね さぶろう)
1973年千葉県生まれ。
中央学院大学商学部卒。
現在、郵便配達員。

ISBN      978-4-434-26228-9 C0093
版型      四六版 上製
ページ数    192ページ


【丸山健二文学賞 受賞のことば】
「小説でも読んでみるか」と思ったのは十九歳の頃です。何から手を出せばよいのか見当がつかなかった自分は、マスコミや書店が口を揃えて推す新刊、文芸評論家が絶賛する名作、そういったものを手当たり次第に読みあさりました。どれも夢見心地な内容の、ちまちました展開の、ねちっこい会話文で綴られた、売上だけは立派な代物ばかりでした。読むのがばかばかしくなりました。とはいえ、なかには骨のある、現実直視を忘れない、真っ当な文学がどこかにあるはずだと感じながら、他人の薦めには二度と耳を傾けず、自分の目だけを頼りに探しつづけました。丸山健二さんの小説を見つけだすまでに二、三年もかかりました。「マジすげぇ」そう感じたのは二十一、二歳の頃です。それ以来、丸山さんの作品をずっと読みつづけています。そんな人間が「小説でも書いてみるか」と思ったのは三十代前半の頃です。案の定、最初はまともに書けるわけもなく、中学生の作文と大差ないレベルでした。しかしながら、自分の意志でもって毎日、毎週、毎月、毎年こつこつと書きつづければ腕は上がるのです。高い目標に向かって何度も何度も書き直し、読み直しては書き直すを繰り返した所産が、その地道な作業の結晶が本書「苔の笞」です。あなたはこれを読まずに死ねますか?

(赤羽3郎 2019.10.30記)

苔の笞

販売価格: 1,700円(税別)

(税込: 1,870円)

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  • 2019年11月26日付 北海道新聞 夕刊

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